運動(手指と全身)、危機管理能力
英語でイヤイヤ期のことを、Terrible Twos, Horrible Threesと表現し、対比的に4歳のことを ”Wonderful Fours”という言い回しがあります。
しかし、この“Wonderful Fours(またはFive)”のような喜ばしい姿は表面的なものであり、発達における”Wonderful Fours”やfiveは誰にでも自動的に訪れるものではありません。
マリア・モンテッソーリは、手指を使って難しい作業を克服することに満足感を示す子どもたちから無秩序で自分勝手な行為が消え、自分をコントロールできるようになるという共通の姿を見出し、それを「正常化」と名づけました。反対に、このような活動に集中できない環境で育つことを「逸脱」と呼び、そのような子どもは無気力で他人に依存的になったり、心理的な防衛の現象によって他人の考えを理解することを阻止したりする行動をとるなど、後の成長に大きな影響を与えると『幼児の秘密』で解説しています。
私が保育現場で抱いた実感もこれに共通しています。特に2、3歳児の担任には毎年「作品はつくらなくていい(年中になってからでいい)」「手指を動かす“運動”を中心に計画を」と、造形や絵画などの表現活動を通じては度々お願いします。
形や見栄えのいいものをつくれば、親にも喜んでもらえ、こどもにも大人の笑顔はよいものなので理解はできるのですが、モンテッソーリのいう「逸脱」は絶対に避けなければいけないものであり、そのためには手指をかなりしっかりと動かさなければなりません。
また、モンテッソーリは同著において「知性と結びついている真に特徴的な運動は…『手の働き』とことばです。身体の形態学においても、歩行の機能においても、この『手が自由になる』ことが人間の特徴です。」とも述べています。生物学に精通した彼女は、人間が人間として進化した由縁(サルやチンパンジーと違い人間に進化した理由)は手の働きがもとになっており、そこには人格をも形成する大きな秘密があると言っているのではないでしょうか。
彼女は「ひとたび逸脱が起こったなら、それを幼児期に取り除かないと、その人に一生ついてまわる可能性があります」と明言しています。学びや教育というものは後からでも学べるものもあれば、その時期にしか獲得できないものもあります。
6歳までの幼児期に何を優先すべきか。特に2、3、4歳は重要な時期です。私の考察では、「Wonderful 5または6」のために2~4歳は幼児期の中でも最も配慮が必要な時期です。 園ではもちろんのこと、家庭でも手指をつかった遊びをぜひ重視していただければと思います。
その一助にもなればと思い、“家庭でできる、手指をつかう遊び”の親子講座を6月の土曜日に設けます。ご関心がある方はぜひご参加ください。(どなたでも参加が可能です)
第4回 親子講座 造形・サイエンス遊び 6月8日(土)
http://innovative-sprout.com/archives/1074649237.html
<ねらい> 身近にある食べ物の命をおすそ分けしてもらい食べ物に感謝しながら、小麦粉や塩の感触や匂い、色と形の変化を楽しむ。
こんにちは、今回、講師を務めさせてもらう、造形教室「るるる」の村田麻美です。一人ひとりの内面を読み取り、個性を尊重したぞうけいあそびを行い、“教える”よりも“自ら気づく”環境を作るようにしています。
さて、今回の『ソルトドゥを体験しよう』について紹介します。
お料理で使う小麦粉、お塩。
お母さんは"食べ物で遊んではいけませんよ"
そういうけれど今日は特別。
食べ物の命をすこしだけおすそ分けしていただきながら身近な小麦粉や塩などでドゥ(粘土)になる過程を楽しみます。
どんな色?どんな形?どんな匂い?
子どもたちの探究心をめいっぱい広げ学びへと結びつけていく、そんな遊びです。
出来上がったドゥは公園で摘んだ草花と一緒に思い出に閉じ込めましょう。
日時:6月8日(土)10:00~11:45
会場:幼児園First Classroom梅ヶ丘校(小田急線・梅ヶ丘駅 徒歩1分)
参加費:親子1組 4,500円 *材料費込み(1組=大人1名、子ども2名まで)ママまたは先生のみの参加も可(3,000円)
どなたでもご参加いただけます。子どもは幼児~小学生まで対象です。(小麦粉アレルギーのお子さんはご遠慮ください)
講師:造形教室 るるる 村田麻美(幼稚園教諭・保育士・リトミック指導)
10:00 受付~屋外へ
親子で羽根木公園を散策しながら好きな草花を摘んできてもらう。
10:45 屋内にて造形サイエンス遊び、スタート
11:45 終了予定
天気がよければ、目の前に広がる公園でピクニックをお楽しみください。
5月11日(土)子育て・親育てセミナー(締め切り間近です)
http://innovative-sprout.com/archives/1074417377.html
最近のように春らしい日が増えてくると、こどもたちもより活動的になってきます。太陽の光にも冬にはなかった明るさを感じ、植物の新芽には生命の息吹を感じます。屋外での水遊びは少し早すぎますが、室内でのプールは伸び伸びと体をほぐし、普段の外遊びとはまた違う運動の楽しみもあることと思います。
一時体験として興味のある方、短期間なら送迎もできるという方、興味がありましたらぜひ参加してみてください。コーチの皆さんも、こどもにとって親しみを感じる受容力の高い方々が揃っています 。そんな触れ合いも楽しんでいただければと思います。(ルネサンスさん、主旨が違ったらすみません。笑)
お申込み、お問い合わせは直接ルネサンス経堂まで!
今年の暑さは本当に酷なものですね。開園してから12年目ですが、学校などでは屋外のプールまで中止になる等、ここまで危険な暑さを感じたことはありません。水分補給、塩分補給、睡眠時間など、熱中症対策を普段以上に心がけたいと思っています。
一方で、私の園の職員たちは、そんな気温の中でも“隙があれば”外遊びを入れようと準備をしています。隙というのは、危険を背負ってという意味ではなく、天気予報に反して気温がそれほど上がらなかったり、風が少し吹いたりして体感気温がやや低いなど、危険を負わない範囲で外に出られる状況になった時のことです。もちろん、朝の早い時間など短時間に限定し、慎重に状況を考えてのことですが。
猛暑シーズンでも「隙」をみて。これは方針だからそのようにさせているのではありません。むしろ私の方がブレーキ役です。職員が外遊びに出ようとするのは理由があり、集団生活において一日中(8~10時間)室内にいることにも「リスク」があることを何度も経験してきているからです。室内でも運動して汗を流すことはできますが、自然を感じながらの外遊びほどの発散は得られません。発散できなければストレスが溜まり、情緒の不安定や集中力の不足、表現力の乏しさ等にもつながります。
ストレスが溜まれば、こども同士のトラブルも起こりやすくなります。直接怪我につながるようなこともあれば、言葉でのいざこざも増え、集団生活においては人間関係にも影響します。時々相談を受ける小学校の学級トラブルなどでも、そもそも身体的なストレスが関係しているのではないかと感じることが多くあります。幼児たちもこれから2学期は運動会の練習、お遊戯会の練習などで外遊びの時間が減りがちです。
先日、遊びに来てくれた小一の卒園生は、「学校は座っていることが多くて体が全然疲れないから、夜、眠れない日が多い」と言っていました。私が小さいころは、休み時間や放課後に走り回って遊んでいたので、あまり授業で座りっぱなしでも気になりませんでしたが、今のこどもたちはそのような環境には置かれていないと感じます。聞いたり、書き写したり、座りっぱなしの授業は身体発達の著しい時期の児童たちには苦痛かもしれません。
まだまだ暑い日が続きそうで夏本番はこれからだと思いますが、一日一日、子どもたちの集団生活が快適に、健康的に送れるよう、前代未聞の暑さを乗り越えていきたいと思っています!
橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。